お客様は「えこひいき」しなさい
私は以前、某レジメーカーの販売会社にいたことがある。
もうかれこれ8年前になるのだが、そのころよく言われていたのが、ワン・ツー・ワンマーケティングとか、FSPというやつだった。
FSPというのは、フリークエント・ショッパーズ・プログラムの頭文字をとったモノなのだが、要するに「お得意様」に対する販促プログラムだ。
スーパーや百貨店などでは、会員カード(ポイントカード)を発行している。
そのカードを使って買い物をすると、ポイントを差し上げる代わりにそのお客さんの購買履歴が手に入る。
それを分析すると、意外なことが分かった。
購買上位30~35%のお客さんだけで、売り上げのなんと70~75%を占めていたのだ。
お店が続けられるのは誰のおかげ?
少数のモノが、全体の多くを占める。
これは俗に「二八(にはち)の法則」とか「パレートの法則」「パレトー則」と呼ばれるもので、イタリアの経済学者パレトー(パレート)によって示されていたものだ。
全体の上位2割のモノが、全体の8割を占める。
あるいは上位3割のモノが、全体の7割を占める。
そういう風に、経済も社会もできているという話だ。
だからスーパーやデパートの顧客の購買分析は、パレトーの法則を裏付けるような結果が出たということになる。
ここまでなら単なる経済学上の話で「ふーん」という話でしかないのだがしかしここから営業上、軽視できない問題があることがわかった。
というのも、上位顧客を一人逃がすと、新規顧客を十人以上獲得しないと売り上げが大幅に減ってしまうという現実だ。
お客様がたとえ毎日百人来店しても、その百人がもたらしてくれる利益には、とんでもない差がある。
お得意様・優良顧客をつなぎ止めておかないと、いくらたくさんお客さんが来ても、利益が上がらないのが分かったわけだ。
NEXT:お得意様を「ひいき」せよ