店は、閉めるために開くもの

財神(お金儲けの神様)で、直木賞作家である邱永漢(きゅうえいかん)さんに言わせると、「店を開くのは、閉めるためだ」ということだそうだ。

 

邱永漢さんについてはご存じの方も多いだろうが、台湾人と日本人の間に生まれた日台のハーフであり、東大経済学部を卒業した秀才だ。

 

台湾人の父親は、台南(台湾南部の都市)の商売人で、家屋敷や衣服には無頓着であったが、食にはうるさく、また、子供への投資は惜しまなかったらしい。

 

戦後、台湾政府から逃げるように香港に渡り、お嬢さんのあざの治療のために日本に戻られた。

 

そして小説家を目指しつつ、株式投資などの利殖に励み、コインランドリーなどの事業を始め、現在は日本のみならず、台湾や香港、そして中国で、様々な事業を手がけている。

 

邱さんの現在の事業は→ハイハイQさんで知ることができるが、台湾・中国でコーヒーチェーンを作ったり、日本語学校を作ったり、投資視察団を編成したりされているそうして多くの事業を手がけ、投資家・経営者の立場で多くの企業を見てこられた邱先生が、「飲食店なんて、閉店するために開店しているようなもの」というわけだから、これは心してかからねばならない。

 

人は何のために店をひらくか知っていますか


サービス業がつぶれるのはあっという間

邱先生はこんな事を書かれている。

 

「私は自分で皿運びこそしておりませんが、傘下にレストランとかコーヒー・ショップとかを10店とは言わず持っています。

 

ですから食べ物屋の経営の難しさについては熟知している積りです。

 

お金もそんなに儲からないし、人の使い方も難しいし、ちょっと油断するとたちまち赤字に見舞われるので、やめろと言われたら、やれやれと胸を撫でおろす立場におかれています。

 

」(サービス業は毎日がピンチの只中ですより引用)サービス業、特に飲食店の場合、オープンするのは簡単だけれど、経営が安定するまでは、山あり谷ありで、事業として考えると割に合わないと言います。

 

サービス業というのは、製造業と違って、人が全ての産業です。

 

お客さんに来てもらわないといけないし、お客さんに電話してもらわないといけない。

 

お店を運営するマネージャーも、お店を運営するスタッフも、人。

 

だから集客に成功してもちょっとしたことで、お客は来なくなるし、商売がうまくいくと、人材の引き抜きがあったりスタッフが店の金や商品を持ち逃げしたり。

 

そしてなによりサービス業はお客さんが来なくても人員を待機させる必要があります。

 

美容院に美容師がいなくては、商売になりませんが、お客が来ないから今日は給料は出しませんでは、誰も働いてくれないでしょう。

 

だから集客がうまくいかないと、人件費ばかりがかさんで出費ばかりになってしまって、あっという間につぶれるわけですね。

 

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